「決算書を見たらすぐにどこを見たら良いでしょうか?」
当協会が決算書の読み方の勉強会などのご依頼をいただき、講師を務めさせていただくと多い質問の一つがこの質問です。
当協会では財務分析の有効性・視覚的に捉える有効性などをお伝えしているので、「ここだけ見ましょう!」というのはないのですが、あえてあげるとすると「純資産の部」を見ましょうということになります。
■全ては純資産を増加させるため
会社にとって重要な指標といえば売り上げや利益などがあります。
また現金の保有額なども重要だと言われます。
しかし、これら全てが関係する部分はどこかというと純資産です。
売り上げや利益は純資産を増加させるためですし、しっかり現金を保有するためには純資産を増加させないといけません。
会社はこの純資産を増加させるために日々の活動をしていると言えます。
純資産が増加していれば日々の活動はうまくいっていると言えますし、減少していればうまくいっていないと言えるでしょう。
■中小企業にとって純資産の増加は問題になることも
純資産を増加させることが会社の目的の一つであることをお伝えしました。
では、うまく増加している会社は何もしなくて良いのでしょうか?
個人で経営をしているような中小企業では、会社の純資産は大きな問題にもつながります。
それは相続の問題です。
上場企業のように永続する仕組みがあるような組織では良いのかもしれませんが、中小企業では社長=会社というのが実情となっています。
会社は永続することができますが、社長である個人には寿命があるため永続ができません。
そうすると必ず相続という問題が発生します。
純資産の増加は、相続時の株式の評価の高額化に繋がる可能性があり、相続税の納税の問題などが発生します。
また分割上での問題も大きな問題となる可能性があります。
純資産を見ることによってその会社が抱える大きな問題を発見することもできるので、純資産を見ることは非常に重要であると言えます。
「最初に決算書のどこを見るべきなのか?」にあえて回答をさせていただきましたが、実際には財務三表をしっかり見ることが重要です。
この箇所だけ、この書類だけとは言えません。
バランスよく全体を見ることができるように学んでいくようにしましょう。
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