決算書・財務の理解がどのぐらいか測る質問に多いのが、「利益を倍にするには売上も倍?」という質問です。
直線的に考えるのであれば利益が倍なのだから利益のもととなる売上も倍になると考えるでしょう。
しかし、これでは現実的な施策は作れません。
「売上を倍!?無理!!」
中小企業経営者の方はこのように思うのではないでしょうか?
利益を倍にするのに売上を倍にする必要はありません。
■利益が倍になるには売上をどのぐらいあげないといけないのか?
実際に利益が倍にするためには、売上をどのぐらい増加させないといけないのでしょうか?
こちらの記事の内容を使って考えていきましょう>>>式から考える決算書
損益計算書は、「売上高−変動費−固定費=利益」という式で表すことができます。
そして変動費は、「売上高×変動費率」と表すことができるので、「売上高−(売上高×変動費率)−固定費=利益」と表すことができます。
売上高を100、変動費率を20%、固定費70、利益を10とします。
式に代入をすると、「売上高100−(売上高100×変動費率20%)−固定費70=利益10」となります。
利益を倍にするので、利益を10から20にして、売上をXとしましょう。
「売上高X−(売上高X×変動費率20%)−固定費70=利益20」となります。
計算をすると、Xは112.5となります。
つまり利益を倍にするためには、売上高は12.5%アップすれば良いということです。
売上を倍(100%アップ)より大分少なくなります。
■変動費を下げればもっと楽に
利益に影響を与えているのは売上だけではありません。
変動費も下げることができればもっと楽に利益倍を実現することができます。
変動費率を20%から18%に下げることができた場合にはどうなるのか計算をしてみましょう。
先ほどの式の変動費率が変わります。
「売上高X−(売上高X×変動費率18%)−固定費70=利益20」
これを計算していくと、売上高Xは109.8となります。
変動費を下げることによって、売上アップは9.8%で良くなりました。
■固定費も下げればもっともっと楽に
さらに固定費も削減してきましょう。
固定費は70から5下げて65とします。
すると、式は「売上高X−(売上高X×変動費率18%)−固定費65=利益20」と変わります。
計算をすると売上高Xは103.7となります。
グッと実現可能性が見えてきました。
利益を倍にするためには、固定費5・変動費率2%削減という施策を合わせることによって、売上3.7%アップで実現することができるのです。
これらの計算を机上の空論という方もいるかもしれません。しかし、机上で計算をして合うことがない計画など実現ができないのではないでしょうか?
最低限、計算上はそのプランや目標が実現可能であるという状態に持っていかないといけません。
現場で働く人に「売上を倍にしてください」というよりは、「売上を3.7%あげよう。会社も経費削減を頑張る」という方が理解が得られるのではないでしょうか?
決算書や財務の知識は経営にこのように活かすことができるのです。
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