「決算書って数字が多くて・・・」
数字が苦手な方は非常に多く、多くの方が決算書は理解しにくいとおっしゃいます。
数字を専門としている方の中にも、「もともとは苦手でした」という方も少なくありません。
数字がたくさん書いてあるため拒否反応を起こしてしまうということなのだと思います。
そのような方は、簡単な足し算引き算の式から決算書の仕組みを理解していきましょう。
■損益計算書を式にする
損益計算書は、売上高から始まり売上総利益・営業利益・経常利益・・・と続いていきます。最終的には当期純利益というその期の儲けで終わりとなります。
損益計算書は売上から各費用を引いていって最終的な利益が出るという仕組みなので、貸借対照表ほど読みにくくはないかもしれません。
それでも「利益がたくさんあるけどどれを見るべき?」となってしまう方もいらっしゃいます。
この損益計算書は、次のような式にすることができます。
「売上高−変動費−固定費=利益」
利益は費用の考え方によって変わってきますが、営業利益として考えると良いでしょう。
営業利益は本業の利益なので、本業でしっかり稼ぎ出せているのかを確認するためにチェックをする必要性があります。
■変動費と固定費とは?
変動費と固定費・・・おそらく多くの方がどのような費用か想像できるのではないでしょうか?
「変動費は変化する費用、固定費は変わらない費用・・・個人でいうと前者が食費や交際費、後者が家賃とかかな?」
決算書の理解を促すには、自分事に置き換えるのは重要です。
会社を自分で経営をしていれば自分の会社で考えればよいですが、決算書を学ぶ方の中には経営をしていない方も多いので個人に置き換えながら理解を深めていきましょう。
変動費と固定費について説明をしていきます。
変動費とは売上数量に連動をして上下する費用のこと言います。
一方、固定費とは売上数量に連動をしない費用のことを言います。
「売上数量?売上に連動する・・・ではないの?」
このように思う方もいらっしゃるでしょう。
しかし、正確には「量」に連動をします。
売上は、「売上=単価×数量」に分解することができます。
500円で仕入れをして1000円で10名に販売をするのであれば、「売上10,000円=単価1,000×10名」となります。
変動費に該当をする仕入れ費用は、「500円×10名=5,000円」となります。
この数量(販売する人数)が10名から20名に増えれば、当然仕入れも「500円×20名=10,000円」と増加をします。
しかし、単価の方を1,000円から2,000円に、1,000円から500円に変更をしても売上は増減をしますが、仕入れ費用は変わりません。
これらのことから変動費は、数量に増減に連動するということがわかります。
固定費は理解がしやすく、単価を上げようが数量が変わろうが家賃などは変わりません。なので、数量に連動をしない費用ということになります。
■シミュレーションをしてみよう
「売上高−変動費−固定費=利益」 の式を使ってシミュレーションをしてみましょう。
売上高は「単価×数量」なので、厳密性は欠きますがここではわかりやすさを重視して変動費を売上高にそのまま連動するものとします。
すると、変動費は「売上高×変動費率」と置き換えることができます。
前述の例でいくと単価1,000円・仕入れ500円ですから、「500円÷1,000円」で変動費率は50%となります。
他の項目も加えていくと、「売上10,000円-(売上高10,000円×変動費率50%)−固定費」となります。
固定費を4,000円とすると、 「売上10,000円-(売上高10,000円×変動費率50%)−固定費4,000円=営業利益1,000円」となります。
ここで広告費用1,000円を使って売上高が10%アップすると見込める場合、利益がどうなるのかシミュレーションをしてみましょう。
広告費用は固定費に含めていきます。売上高は10%アップなので10,000円から11,000円に増加をします。
式は「売上高11,000円-(売上高11,000円×変動費率50%)−固定費5,000円」となり,計算をすると営業利益は500円となります。
この場合、他の事情を考慮しない場合には広告費をかけた結果として利益が半分になってしまうということをシミュレーションすることができます。
簡単な式で各施策の検討を行うことができます。
決算書の知識は、過去の数字を読むことだけに使うわけではないのです。
決算書の理解は、このように活かすのであれば難しいものではありません。
自社の商品やサービスを販売するにしてもシミュレーションをしながら話ができると説得力も変わってくるでしょう。
ぜひ決算書の勉強に取り組んでみてください。
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