決算書の読み方:BSとPLの繋がり

「貸借対照表(BS)、損益計算書(PL)それぞれなら理解はできるがお互いに何の関係があるのかわからない」

決算書の勉強を始めたばかりの方に多いのがこのようなお悩みです。

決算書は、どれが特に大事かというのはなく全てが繋がっているため全て大事です。中小企業では作成をしていないキャッシュ・フロー計算書も繋がっています。

これら財務三表を見ることによって問題点などが分かってくるのです。

■BSとPLの繋がり

BSとPLは純資産で繋がっています。

PLで稼ぎ出した利益は、利益剰余金としてBSの純資産に蓄積されていきます。

BSの純資産を蓄積するためにはPLの利益が必要であり、PLの利益をあげる理由の一つがBSの純資産を蓄積することということになります。

それぞれ別々に考えるのではなく繋がりをみて関連性を見ていく必要性があります。

■個人でいうと毎月の貯金額と貯金総額

少しわかりにくい方は、個人の例で考えてみましょう。

私たちは、毎月給料をいただいて生活をしています。

給料の中から必要な生活費を支払っていき、残りを貯蓄としてプールしていきます。

PLに置き換えると、給料は売上、貯蓄額は利益と言えるでしょう。

次にBSの方を見ていきましょう。

私たちは、現金や車、家や物などを所有しています。

資産としてこれらのものを持っています。

では、これらの資産を購入するためにどこからお金を得たのでしょうか?

このお金は給料から生活費を差し引いた貯蓄か、もしくは借金ということになります。

個人で考えても貯蓄を増やす、貯蓄額を増やすということは重要であることがわかります。

会社も同じように繋がりを見ていくことが大事です。

■キャッシュ・フロー計算書が導入されたのはなぜか?

当協会では、上場企業の決算書の読み方を主の目的(もちろん同じなので知識としては使えます)とはしていないので、中小企業の決算書の読み方を学ぶためのコンテンツを用意しています。

しかし、キャッシュ・フロー計算書の理解は中小企業でも必要です。中小企業でもキャッシュ・フロー、つまり現金の流れを知ることは非常に重要なのです。

キャッシュ・フロー計算書を考慮せずに、損益計算書と貸借対照表だけを見ると何が起こるのかを考えてみましょう。

損益計算書には、実際の現金の出入りは関係なく帳簿上の売上・利益が計上されます。

もっと簡単にいうと掛け(代金は後払いでいいですよ、という取引形態)で販売しても売上・利益は増加をしていきます。

利益があがるので貸借対照表の純資産も増加をしていくことになります。

利益は上がっているし、純資産も増えているから良い会社という判断ができてしまう可能性があります(実際には、キャッシュフローとBSの繋がりから現金が減っていることに気がつく可能性など他の箇所からおかしな点が気がつくことができますが、一旦その点は無視をします)。

会社経営上で重要である現金が枯渇をするため、売上もあがっている・利益もあがっているのに経営が行き詰まるということが起きてしまいます。

いわゆる黒字倒産というやつです。

このようなキャッシュフローを見ないと把握できないようなことが起きたために欧米で先行して導入されていたキャッシュ・フロー計算書が日本でも作成が義務付けられたのです。

要は会社の経営状況を把握する上では欠かせないものであるとなったので導入をされたということになります。

ここからもいずれか一つではなく財務三表全てを一体的に見る必要性がわかると思います。

決算書の読み方・見方の勉強は難しくはありませんが、時間はかかります。

これは色々な事柄が繋がるまで一定の知識の蓄積を必要とするからです。

決算書を読めるようにしたい・財務の知識を学びたいという方は早めに勉強を始めることをお勧めいたします。

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