経営判断とは、人・モノ・金の経営資源をどのように分配するのかということを指します。
広義はもっと広い範囲になりますが、狭義にする「意思決定をする」ということが経営判断であり、経営者にしかできない仕事ということになります。
この経営判断、多くの経営者が勘に頼って行なっています。
実際には、シミュレーションをしてプラスになる場合には実行するというのが望ましいでしょう。
■シミュレーションをしないと効果がわからない
「その費用、シミュレーションはしましたか?」
このように経営者の方に尋ねるとほとんどの方は「いや、シミュレーションまではしていないけどいける気がする」という回答されます。
経営者の勘は非常に重要な意思決定の要素なので否定はしませんが、この勘に数字的なシミュレーションが入ってくるともっと良い判断ができるのではないでしょうか?
例えば、「広告を打つ」「人を採用する」「設備を買う」という時に数字を使って「これならプラスになりそうだから実行しよう」となると良いでしょう。
■予想損益計算書を作成する
では、実際にはどのように行うのでしょうか?
通常、会社の損益は「売上−費用=利益」で計算がされます。
この計算式でもシミュレーションは可能ですが、手間がかかるためこちらの式を活用します。
「売上−変動費用(売上×変動費率)−固定費用=利益」
この式は損益分岐点の計算などを行う時に使う式で、管理会計の分野に属するものです。
変動費用とは、売上数量に連動をして増減をする費用のことを言います。
仕入れ費用や送料などが該当します。
販売数量が1個から10個になれば、仕入れ費用も送料も基本的には増加をするので変動費用となります。
一方、固定費用とは売上数量に連動をしない費用のことを言います。
固定給での支払いによる給料や支払家賃などが該当をします。
変動費と固定費は、販管費の中にそれぞれ含まれているためまずは変動費と固定費に分けるという必要性があります。
これらの費用の区別が終わっていると仮定してシミュレーション例を見ていきましょう。
売上が100、変動費率が20%、固定費70という会社があるとします。
式に当てはめると「売上100−(売上100×変動費率20%)−固定費70=利益10」となります。
広告費10を使うことによって、会社の売上数量が増加をして売上が10%増加が見込めるとします。
この場合、利益はどのように変化がするのでしょうか?この広告費は使うべきなのでしょうか?
式はこのように変化をします。
「売上110−(売上110×変動費20%)−固定費80=利益8」
この例でいくと、利益が減少してしまっているので他の要素(ブランド強化や今後の売上につながる効果など)が見込めないのであれば広告は見送りという判断になります。
このようにしっかりと準備をすればシミュレーション自体は手軽に行うことができるのです。
■測定もしっかり行う
シミュレーションは重要ですが、もっと重要なのは結果を測定してシミュレーションとの乖離を確認することです。
シミュレーションでどんなのプラスになっていても測定をすると実際にはマイナスということもあります。
これらのデータが積み上がっていくとどんどんシミュレーションの精度は高くなっていきます。
「なぜシミュレーションとずれたのか?」「シミュレーションのどこがおかしかったのか?」と考えることによって、色々なことがわかってくるはずです。
会社として勘だけに頼った判断をするのではなく、数字も味方にしてより強い会社作りをして行きましょう。
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