なぜ利益は出ているのにお金がないのか?

経営者の方からこのようなことを言われたことがないでしょうか?

「利益は出てるんだけどね・・・お金がないんだよね。」

???となってしまう発言ですよね。

利益が出ているってことは儲かっているはず・・・儲かっているのだからお金がある・・・でも、お金がない・・・

意味のわからない断り文句(その場合もあると思います)なのではないかと疑ってしまいたくなりますが、これは利益とキャッシュフローの違いによるものなのです。

■キャッシュフローとは?

キャッシュフローとは、直訳をすると「現金の流れ」となります。

キャッシュフローと聞くと、キャッシュ・フロー計算書を思い浮かべる方も多いと思います。

キャッシュフロー計算書は、上場企業には作成が義務付けられている財務諸表の一つです。

2000年3月から日本でも導入がされました。

会社は現金が無くなってしまうと倒産をしてしまいます。

現金が増えているのか、現金はどのように得ているのか、現金を何に使っているのかは非常に重要で、これらをしっかり把握する必要性があるとなり、キャッシュ・フロー計算書の作成が義務付けられました。

■なぜ利益と一致しない?

では、なぜ損益計算書の利益からは、現金を把握することができないのでしょうか?

これは、売上を計上するルールが大きく影響をしています。

売掛金を例に挙げて利益と現金が一致しないことを理解していきましょう。

50万円で商品を仕入れして、100万円で販売するという簡単なビジネスを例にして見てみましょう。

まずは商品を50万円で仕入れをします。

しかし、掛けで購入をするためこの時点では現金の支払いはありません。

支払いは1ヶ月後とします。

そして10日ほど営業をして、100万円で売れたとします。

販売時にも掛けで販売をするため、現金が入ってくるのは1か月後とします。

商品を仕入れたのが4月1日で、販売ができたのが4月10日、現金が入ってくるのが5月10日となります。

商品の仕入れの支払いが5月1日となります。

他の取引や現金などを無視すると、この会社は「販売額100万円−仕入れ50万円」で利益が出ています。

つまり黒字です。

しかし、現金は5月10日に入ってくるため、5月1日の支払い時点では現金がありません。

あえなく倒産・・・ということになります。

これが利益と現金が一致しない一つの理由となります。

これ以外にも、経費に計上ができない借り入れの返済や来期への投資にお金を使っているなども利益が出ているが現金がない原因になります。

■キャッシュフローを把握することは重要

キャッシュフローを把握することは非常に重要です。

売上や利益だけを見ていても倒産する可能性があるからです。

中小企業では、キャッシュフロー計算書を作成していないので、ほとんどの方がキャッシュフローの把握など意識はしていません。

しかし、実際には、中小企業の経営者はキャッシュフロー経営のようなことをしています。

通帳とにらめっこをしながら、資金が足りているか、不足するかを把握しながら経営をしている方が多いので、実は貸借対照表や損益計算書などは把握せずキャッシュフローだけを見て経営をしている方が多いとも言えます。

いずれにしてもキャッシュフローは非常に重要ですし、その他の貸借対照表や損益計算書も合わせて使うことが重要です。一つに偏らずに決算書を経営に活かせるようにしていきましょう。

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